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つわりの原因は現在でも解明されていません
妊婦さんの半分以上が経験するという「つわり」。
昔からつわりは妊娠中の症状として最も有名なものではないでしょうか。
つわりの原因は、妊娠によってホルモン、代謝、環境が急激に変わってしまうため、母体がこの変化に追いつけないためと言われていますが、現在でもつわりがなぜ起こるかははっきりと分かっていません。
このため「これをするとつわりが良くなりますよ」という特効性のある改善法はありません。
まずはこのことを頭の隅に置いてもらえればと思います。
しかしいろいろとつわりの対策をすることはできます。
これからそのことを含めて順に説明していきましょう。
葉酸サプリはつわりを改善する効果があるのか
インターネットで「つわり 葉酸」などと検索すれば、多くの情報が出てきます。
中には葉酸サプリがつわりの予防になるというものもありますが、実は葉酸の効果が医学的に認められているのは「胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低減すること」「血中のホモシステイン値を下げること」「葉酸欠乏」の3つのみで、「葉酸欠乏」は主にそれに伴う貧血の治療に使用されます。
そのために葉酸サプリを「つわりの予防」で飲んでも効果があるとは言い切れない状況です。
ただし赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを下げる効果があることは、世界の様々な研究で分かっています。
妊娠前から葉酸サプリを利用するのは、つわりの予防ではなく赤ちゃんのためなのです。
葉酸サプリではなく「マルチビタミン」ならやや有効
このように葉酸単体ではつわりを抑える効果が認められていませんが、「マルチビタミン」であればある程度は有効ではないかと言われています。
マルチビタミンもサプリメントの一種で、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンDなどが一緒にとれる便利なものです。
特にビタミンB6はつわりを緩和する効果があるのではないかと言われており、病院の点滴にも含まれている成分になります。
そして実際に点滴を受けるとつわりが楽になる妊婦さんが多いのも事実です。
マルチビタミンにビタミンAが含まれているなら注意を
しかし日本産婦人科学会は「マルチビタミン」がつわりに有効だという報告があるのを認めながらも、ビタミンAの過剰摂取のおそれがあるとして積極的に推奨してはいません。
そのため日本産婦人科学会は、「もし前回の妊娠でつわりに悩まされた妊婦さんでなら、次回にマルチビタミンを使うことを勧めてみてもよいかもしれない」くらいのスタンスです。
だからマルチビタミンの利用を考えている人はビタミンAが入っているか、もし入っているなら食事と合わせて一日の推奨量650μg程度になりそうかをチェックすることが大切になります。
また、心配なら服用前に医師や栄養士に相談してみることもお勧めします。
特に持病のある人はサプリメントとはいえ、独断で使用しないようにしましょう。
つわりで葉酸サプリさえ飲めないときは?
葉酸は胎児の先天性異常のリスクを下げる効果がある不可欠な栄養素です。
葉酸の摂取が一番重要な時期は妊娠1ヶ月ほど前から妊娠12週くらいまでになりますが、妊娠6週から12週は最もつわりが出やすい時期でもあります。
「つわりで葉酸サプリさえ受け付けなかったら赤ちゃんに悪影響があるの?」と心配な人もいるでしょう。
でも結論から言うと、つわりがつらい時は「食べられるものを食べられるだけ」で大丈夫です。
妊娠初期は確か大事な時期ですが、つわりで思うように栄養がとれなくても母体の栄養素で賄うことができるからです。
かえって「栄養がとれない」と自分を追い詰める方がつわりを悪化させます。
つわりは16週にはほとんどの人が収まるので、それまで無理せずゆっくり過ごしましょう。
つわりを乗り切る工夫とは
最初につわりに特効薬はないと書きましたが、軽減させる工夫はたくさんあります。
①空腹な朝に起こりやすいので、枕元にすぐ食べられる物を用意しておく。
②空腹だとひどくなることが多いので、食事は少量を頻回に分けて食べる。
③においが誘因になるので、食事はなるべく冷まして食べる。
④水を飲むと吐くこともあるので、氷を含んで水分補給する。
⑤気持ちが変わると軽減することもあるので、気分転換の方法を見つける。
このような工夫をして、もし食べられそうなら食べ、葉酸サプリも服用できそうならしてみる、水分の補給にだけは気をつける必要がありますが水のがぶ飲みはしない方がいいでしょう。
しかし、毎日吐いてどんどん体重が落ちていくようであればつわりより重症の「妊娠悪阻」かもしれません。
その場合はすぐにかかりつけの医師に相談しましょう。