忙しい男性は葉酸をはじめビタミン、ミネラルが不足しがち
「健康的な生活を送りたい」と思いながらもついつい生活が乱れがちになっていませんか?
とくに男性は日本社会ではまだまだ仕事の主力を担っているので、忙しさで自己管理が難しくなっています。
たとえば偏った食生活やタバコ、付き合いやストレス解消でのお酒…
喫煙や飲酒は女性にも関係ないことはありませんが、喫煙の男女比は男性が女性の3倍、飲酒は女性の4倍とどちらも男性に多い習慣です。
これは喫煙も飲酒も仕事と切っても切れない関係にあることがひとつの理由でしょう。
そして問題になるのが、どちらの習慣も葉酸をはじめとするビタミンやミネラルを無駄に消耗してしまったり、破壊してしまうことにあります。
それでも飲酒も喫煙もするけど、食生活は栄養バランス抜群、葉酸もたっぷりならまだいいのですが、現実にそんな男性は少ないのではないでしょうか。
葉酸と動脈硬化に関係あり?
偏った生活習慣が長年続いたことで発症する病気を「生活習慣病」といいますが、実は葉酸と生活習慣病は密接な関係があります。
それは葉酸が足りないと血中のホモシステインという物質が代謝されずに濃度が高くなる「高ホモシステイン血症」になってしまうということです。
高ホモシステイン血症は以前から様々な生活習慣病につながる「動脈硬化」の原因であることが知られています。
実際に動脈硬化が誘因とされる生活習慣病には心筋梗塞や脳梗塞があげられますが、どちらも致死率が高く後遺症も残りやすい危険な疾患です。
もちろん、これらの疾患も高ホモステイン血症も男性だけのものではありませんし、生活習慣だけが原因でもありません。
しかし、男女比は心筋梗塞が10:1と男性が圧倒的多数を占め、脳梗塞のほうは男性のほうがやや多いという統計ですが、60代までの発症率でも3:2と男性の割合が多くなっています。
このことからやはり男性は動脈硬化につながるホモシステイン値を下げる葉酸は摂取したほうがいいといえるでしょう。
どのくらいの葉酸がホモシステイン値を下げるのか
「じゃあ、サプリメントでもいいから葉酸を補給すればいいじゃないか」
ほとんどの男性はそう思われたでしょう。
でもちょっと待ってください。
「~に~が効く」といわれると、すぐに行動に走る素直さが日本人の長所でもあり欠点でもあります。
葉酸だって例外ではありません。
実はある研究では、葉酸を1日に500μg摂取すると効果的にホモシステイン値を下げられるが、それ以上の値になっても効果は変わらないというのです。
また、厚生労働省では葉酸を摂取する上限を1日1000μgとしており、多ければ多いほどいいというわけではないのです。
また、葉酸のサプリメントを服用すると脳卒中や心筋梗塞の予防になるかという実験は世界で16例もあります。
それぞれ3~7年にかけて葉酸と偽薬にわけて被験者に服用してもらったのです。
結果は「飲まないよりはやや良いが、予防になるとまで言い切れない」というものでした。
葉酸はホモシステイン値を下げる効果はあるものの、期間限定では意図的に多く服用しても脳卒中や心筋梗塞を直接予防できるわけではないようです。
忙しい男性の健康は食生活の見直しから
しかし上の結果から葉酸のサプリメントの摂取に意味がないといいたいわけではありません。
要はサプリは医薬品と区別して考えるべきで、あとは優先順位の問題なのです。
まずは食生活でしっかりと葉酸をはじめとする栄養素を取れているか確認することが先です。
葉酸が豊富な食べ物には納豆などの大豆製品、ほうれん草や春菊などの葉物野菜、ブロッコリー、とうもろこし、ねぎがあります。
魚介類や海藻類のホタテ、カキ、わかめ、のりも葉酸が多い食品です。
他にはオレンジ、いちご、ライチ、マンゴーなども葉酸摂取にお勧めの食べ物になります。
これらのものが比較的多くとれているなら葉酸の摂取量はまず大丈夫でしょう。
もし極端にとれていない場合はサプリメントで補ったほうがいいかもしれませんが、他のビタミン、ミネラルも不足している可能性が高いので、まずは食生活を自分のできる範囲で改善していきましょう。
また、喫煙をやめられない男性や飲酒の機会が多いという男性も食事に葉酸のサプリメントをプラスすることを考えてもいいかもしれません。
しかし生活習慣病の予防には、なかなか難しいですが喫煙や飲酒を控えることやバランスのとれた食事を長期間続けることが一番の近道なのではないでしょうか。