スポーツ選手の薄毛は致命傷!?発毛剤がドーピングになる理由

Contents

オリンピックなどの大きなスポーツの大会では、意図的に薬剤を服用して競技の能力を高める行為「ドーピング」は厳しく禁じられています。筋力増強剤などを飲めば検査に引っかかり、出場停止処分を受けることは誰もが知っているでしょう。また、風邪薬などを飲んで検査が陽性になることもあるのは有名な話です。

しかし、発毛剤という一見ドーピングとは関係がなさそうなもので、検査に引っかかった選手もいることはご存知でしょうか?実際に、服用していた発毛剤が原因で検査が陽性になってしまった選手がいます。なぜ発毛剤が?という疑問が湧いてきますよね。ここで、発毛剤に含まれる成分と検査の関係を解説していきます。

オリンピックでドーピングが禁止されている理由

オリンピックを始めとしたスポーツの大会では、フェアプレーの精神が何よりも尊重されます。自分の持って生まれた身体能力や練習の成果で相手に挑むことが、正しい結果を残すことにつながるわけです。薬物を使って身体能力を上げても、「勝った」とはみなされないのがスポーツの世界なのです。

また、筋力増強剤などを使用すると、副作用で選手自身の体にダメージを与えてしまうおそれがあります。健全にスポーツをするために、勝ちにこだわるあまりドーピングをしてしまうことを阻止しなければなりません。

筋力増強剤だけがドーピングではない

ドーピングと聞くと、筋肉量を増やす薬をイメージする人が多いかもしれません。しかし、攻撃性を高める「テストステロン」という男性ホルモンやそれに似た作用をする物質を体に入れることも、競技能力に影響を及ぼします。

また、これらの薬剤を飲んだ証拠を体内から消してしまう作用(マスキング効果)のある成分も、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が禁止薬物リストに入れています。また、利尿剤もおしっこを大量に出して体内の薬剤を発見しづらくしてしまうという作用があるので、禁止薬物に指定されています。

発毛剤にマスキング効果のある成分が含まれていた

育毛剤がなぜ検査に引っかかるのか?というのが一番の疑問ですよね。発毛・育毛剤として有名なプロペシアには、WADAが禁止薬物リストに入れていた「フィナステリド」という成分が含まれています。フィナステリドには利尿効果や、ドーピングの痕跡を消すマスキング効果があります。

実際にプロペシアなどのフィナステリドを含む発毛剤を服用していて、出場停止処分になってしまったスポーツ選手が何人かいます。プロ野球のリック・ガームトン選手や、元ブラジル代表のロマーリオ選手などが有名です。

ヒゲを生やす塗り薬で出場停止!?男性ホルモンに似た成分は危険

育毛剤の他にも、ヒゲや体毛を濃くする塗り薬を使っていて検査に引っかかってしまったラグビー選手もいます。これはプロペシアのケースとは違い、メチルテストステロンやメタンドリオールという「男性化ホルモン」が含まれていたことが原因です。

フィナステリドは現在禁止薬物リストから外されている

「発毛剤を飲んでいて検査に引っかかるなんて、スポーツ選手の薄毛は放置するしかないのか」と思うかもしれません。しかし、WADAは2008にフィナステリドを禁止薬物リストから外しました。検査技術の向上により、フィナステリドを服用していてもドーピングの痕跡を発見できるようになったからだそうです。

ただし、体毛を濃くする薬に含まれている男性化ホルモンは今でも禁止リストに入っています。しかし、男性ホルモンを増強する成分は薄毛を引き起こしやすくなりますから、頭髪を気にしている選手にとって不便ということはないでしょう。

薄毛対策をしていただけでドーピング検査に引っかかってしまった選手は、ビックリしたのではないでしょうか。証拠を隠ぺいする成分が入っていることを知っていれば、出場停止を免れたかもしれません。今は検査を気にせず育毛剤を使えるようになったので、薄毛を気にしている選手も一安心ですね。